ボサボサになった頭をそろそろなんとかしないといけないと思い近所の床屋に向かう。店に入ると「いらっしゃいませ」と店主が笑顔で迎えてくれる。どんな髪形にするかタバコを吸いながらヘアカタログをみて決まると席に着く。カットしてもらってる間は他愛の無い世間話が続く。暫くしてから「お店を新しくするため今の店を取り壊す」と店主が言った。一瞬言葉に詰まったが「そうなんですか」となんとも気が抜けた返事をしていた。店自体が無くなる訳ではないのだけれど少し寂しくなった。何故そう思ってしまったのかなと考えているうちにカットが終わり「おつかれさま」と店主の声で我に返る。混み合っているときは直ぐに帰るが、そうでない時は待合スペースの椅子に腰掛けてタバコを数本吸ってから帰るのが私の習慣になっている。吸い終わって落ち着いたら代金を払って「ありがとう」と言って店を出る。店主が「またどうぞ」と言って見送ってくれた。